事業企画
事業企画部 原価企画室

K.H

前職:自動車部品の事業企画

事業の方向性も
原価低減も、
未来を「数字」で
定量的に見える化へ。

戦略立案から量産まで、
自ら示した方向性に全社を動かす。

これまでにない、新しい何かを創り出していこう、そんな雰囲気を入社後、真っ先に感じました。特に私がいる事業企画部は、アドヴィックスが掲げる「VISION2030」を体現し、電動化や自動運転へシフトする自動車業界のニーズに応え、「未来のモビリティに、ブレーキはどうなるのか」の方向性を示すことが求められる部門です。モビリティの移動時間が、より安全・安心で快適・便利になる新製品を提供し、実現するにはどんな原価や生産体制なら可能か。私が担当する制御ブレーキ・回生協調ブレーキも、交通事故の死亡者ゼロや地球環境にやさしい燃費改善につながるものです。

営業や設計、生産技術・管理、製造など、全社と調整して事業戦略を練り上げ、お客様とも交渉しながら、生産が立ち上がり実績と成果が目に見えるまでは3~4年かかります。その未来をどう見通すのか。事業企画の私が方向性を伝える際も原価企画を検討するときでも、大事なのは「数字」で示すこと。なぜ新製品が必要なのか、何もしないことでどれだけ利益や売上を失うのか。数字で定量的に「何のために、どうすれば」を見える化することが、最も説得力があり、関係する多くの人に積極的に動いてもらえると気づきました。

戦略立案から量産が始まるまで一貫して携わり、数字の裏付けやコミュニケーションを深めてまとめ上げていく充実感は、前職では得られなかったこと。自分が企画提案し承認された内容が、全社を動かす。責任がありますし、やりがいも大きいですね。

「初」尽くしだった、中国・福州での
回生協調ブレーキの量産化。

海外生産拠点のどこで何をつくり、どれほどの生産量が必要で、どれだけの目標利益や売上を得るのか。また、必要な構成部品を日本から送るのか、現地調達の供給体制をつくるのか。より低コストで生産し、お客様の生産拠点に近い場所で安定的な供給力も高める海外生産の推進窓口も、私の役割です。

数年前から中国の生産拠点・アドヴィックス福州で、中国の自動車メーカーでも急速に需要が高まる回生協調ブレーキの量産を進めています。私にとって初の海外での仕事で、しかも回生協調ブレーキを海外拠点で生産するのも当社初の挑戦でした。数百点ある構成部品のすべてをいきなり現地調達するのは難しいと考え、技術的に難易度の低い部品から3段階に分けて増やしています。お客様には「日本と同じつくり方です」と説明するのが理想ですが、現地の仕入先にもプライドがあります。「図面さえあればその通りにつくれる。どうして日本のやり方に変えないといけないのか」と。最終的に、仕入先が考える工程や設備、レイアウトを認めつつ、求める品質や原価コストを実現する大事なところは日本のやり方を貫きました。

現地調達は知的財産の利益供与になるので、コンプライアンス遵守も重要です。日本の設計や生産技術が苦心してつくり上げた知見やノウハウを海外に出すための確認事項は膨大でしたが、同時にアドヴィックスと仕入先、互いの技術的なプライドに触れて、その想いをつなげる大切さも再認識しました。何よりも、まず私自身が熱意を持たなければ実現できませんし、やりがいや達成感はそこから生まれると教わりましたね。

いつの日か自ら海外拠点に赴任し、
アドヴィックスの名を世界に。

アドヴィックス福州では、反省もあります。私の情報展開が1日遅れて、現地部品調達に動く多くの人の時間と熱意をムダにしてしまったことです。窓口として多くの人と接点を持ち最前線に立つ私に、周りから求められるのはヘッドクォーター(司令塔)としての役割です。方向性を示す自分次第で、巻き込む人のプロセスも成果も変わってしまう責任を痛感しました。

政情リスクや為替変動など様々な要因を考慮して進める必要がある一方で、今あるニーズに応えることは数字で具体的に示せても、中長期の未来は誰にも分からないし、利益・売上の計画は立ててもブレ幅は必ず生じて、戦略が変わる難しさがあります。強いて言えば、自らの手でどれだけ近づけていけるか、が求められていると考えています。プレッシャーも大きいですが、先を見通せずにモヤモヤした思いを抱えた時ほど、いい意味で開き直っています。コストや価格だけでなく品質、競争力が高まるように、しっかりとスピード感ある情報展開をすることで、未来がこちらへ近づいてくる、と。

福州の現地調達も3段階の最終ステージに入り、さらに「4つ目のステージ」をどうするか、検討を進めています。コロナ禍が終息して再び、現地を自分の眼で確かめに行ける日を楽しみにしていますし、いつの日か海外拠点へ赴任したいとも思っています。そして「ブレーキのアドヴィックス」の名を、自動車業界だけでなく世界中の誰もが分かるように、まず私が動き出して知名度や存在感を高めていきたいですね。