設備保全
半田工場 保全室
前職:液晶パネルの生産技術・設備保全・製造
“直す”というゴールへ、
自分もチームも
「保全のプロ」として
磨きをかける。
マシニング加工は制御システムに違いが少なく応用が利く反面、生産ラインのセンサなどの故障が起きやすい。一方で、組付工程は設備メーカーの数だけつなぎ方や回路の組み方に違いがあって、覚える量も膨大ですが、クリーンルームのきれいな環境なので設備が壊れにくい。このように、ブレーキ製品の生産設備は、保全のプロフェッショナルとしていろんな経験を積み重ねていけるので、前職と比べて仕事の幅が広がっているのを実感しています。
故障修理や計画工事に携わりながら、今は班長として半田工場の3職場(第二工場)全体の生産設備の計画・維持対応を任されています。30~40の生産ラインが稼働し、私の担当は電気とソフトウェアです。お客様によってブレーキのつくり方も設備も違い、「同じ修理はない」と言えるほど、修理対応も多様です。原因を切り分け、究明していく難しさがありますが、だからこそ技能員の得意分野を活かして、互いに助け合って「チームで解決」しています。班長として、技能員一人ひとりの得意分野を把握して、存分に力を発揮してもらう。そうすることで、チーム自体としても成長し、「保全のプロ」として磨きをかけていくことが大切だと考えています。
失敗して覚え、次に活かす。その繰り返しが、保全管理の醍醐味ですね。自分が思う通りに修理できた時は成功と言えますが、もっとより良くより早く、解決できる「診断」のアプローチがあったんじゃないかと。医療ドクターと同じで、保全管理は的確な診断が大事です。そこを間違えると違う方向に進んで行き詰まるので、これがダメなら次はあれ、と複数の診断パターンを持つか否か、その差は大きいですね。
例えば、加工設備でブレーカーがトリップした時に、何から手をつけるか。最初にすべてのサーボモーターの絶縁不良を確認するのか、ブレーカーが何につながっているかを確認し、絞り込んでから測定するのか。「この設備メーカーのブレーカーなら、ここが怪しい」と診断できれば、120分かかる修理も50分で終わるようになります。直すというゴールは一つでも、辿り着く診断方法は保全管理に携わる人の数だけあって、私はいつもパズルを組んでいくイメージで現場に臨んでいます。どこにどのピースを置き始めるか、欠けたピースはどう埋めるか。スピード感やバランス感覚が求められる難しさもありますが、とても楽しいですね。
実は転職後の半年間、なるべく多くの技能員に同行して修理対応を見て学び、日記のようにメモしていました。診断方法の引き出しの数を増やすのに、とても役に立ちましたね。現場に駆けつけて、誰も分からない故障対応を、サクッと直してサッと立ち去る。そんな時は、少しだけ格好いいヒーローの気分になれますし、永遠に追求し続ける姿ですね。
修理対応に許される設備停止時間は、加工なら240分以内、組付は120分という数値目標がありますし、現場ごとにどれだけ止められるかも随時、確認しています。アドヴィックスの設備はほぼ自動化され、技能員がどこにいて設備が何分止まっているかが一目で分かるシステムなので、いつも確認しながら技能員をうまくフォローできるように心がけています。現場の製造担当から故障情報を丁寧に聞き出すコミュニケーションも重要です。助けてもらえるとこちらも動きやすいですし、無事に治して「ありがとう」と言われると、やっぱり嬉しいですね。保全して当たり前でも、その当たり前をちゃんと認めてもらえた証しですから。
また、若手を底上げしたいと思い、7人いる部下には私の独自メモをオープンにしています。何をやっても行き詰ってダメな時は落ち込みますし、後から現場に来た同僚がサクッと治してサッと帰ると、もう地獄です(苦笑)。私もそうでしたが、我慢が必要な時もあるし、失敗しながら成長できる環境があるよ、と伝えるメッセージになればいいなと思って、それが私の独自メモをオープンにしている理由ですね。
修理対応で製造が止まり、生産性が落ちないように、中長期的なメンテナンスや改良計画工事など、予防保全も私の大事な役割です。設備機器のサイクル的にそろそろ異常が起きるかもと故障が発生する前に、適切に設備や部品を交換しています。IoTなども積極的に活用しながら、予防保全計画の精度を高めて、緊急対応する「自分の出番」をどんどんなくしていきたいですね。