生産技術
制御ブレーキ第1生産技術部

O.T

前職:電子部品・プリント基板製造の技術開発

ブレーキ生産の上流から
下流までの「つなぎ役」。
自分の仕事が「未来の
スタンダード」になるように。

既存ラインは1年、新設なら数年かけて。
「セオリー」をさらに「高生産性」に。

95%を超える自動化率の高さは、実は自動車業界でもアドヴィックスが一番――。お客様にそう教わって、そんな現場に立ち、自分で決めて動かせる楽しさを日々、実感しています。100点近い部品で構成する制御ブレーキを、24秒で1つ組み立てる生産ラインで、設備台数は20台以上、工程数も約60工程。20メートルのラインを往復40メートルのスケール感ですから、設備マシンが動くのを見ているだけで楽しいですね。

今は環境対応車の需要増に応える回生協調ブレーキの加圧系コンポーネント・BMC(ブースタマスタシリンダ)やPSU(パワーサプライユニット)の国内向け増産対応など、新設ラインの企画・検討を担当しています。ライン立ち上げの企画から計画、生産準備、生産まで一貫して、事業企画や生産管理などの関係部門から情報を吸い上げて練り上げていきます。

既存の量産ラインをベンチマークして現状を把握し、改善点を抽出して計画に盛り込むのが基本ですが、それでも完成まで1年、新製品なら数年はかかります。アルミボディの内蔵物を組み付ける圧入工程から始まって、最終工程は外側部品の組付けまで。ゴム部品が多いBMCは一品一様で変形しやすい組付の難しさ、品質に直結する組付けのきれいさ、時間ロスをなくす搬送の先行動作。工程全体には様々なセオリーがあって、バックキャスティングで工程をつくり込んでいきます。ラインを止めないだけでなく、品質も稼働率も向上する「高生産性ラインのセオリー」の構築へ日々、チャレンジしています。

海外での初仕事は、自動化と人が
融合するラインの立ち上げ。

中国の生産拠点・アドヴィックス福州に、回生協調ブレーキAHB-Rx用のBMCの新設ライン導入を任されたことがあります。現地に進出した日本の自動車メーカー向けに、半田工場の既存ライン4号機と同じラインを、国内と福州で同時に立ち上げるプロジェクトです。4号機は全自動ラインですが、人件費が安価な福州では人と自動化の混合ラインにする難しさがありました。しかもコロナ禍で必要な構成部品がなかなか手に入らず調達にも苦心しましたが、自分なりにフロントローディングを工夫しました。まずは4号機をベンチマークして問題点を網羅的に抽出して工程改善を盛り込み、さらにいくつもチャート図を作成。「この流れなら!」と練り上げたものを現地へ持ちこみ、作業適合の実証テストを繰り返しました。

また、リーダーの私をサポートして頑張ってくれたのが、若手の後輩たちです。構成ユニットの機能や動作を一つひとつ、目的は何か、どう役に立つのかをしっかり考えてもらうように指導するうちに、自分から「こうしましょう」と提案して完成度を高める大きな力になり、達成感も味わってくれたのは嬉しかったですね。

人が余裕を持って無理なく、自動化も最速で動けるオリジナルのラインを実現でき、納期も守ることができました。海外での初仕事でしたが、ローカルスタッフのスキルの高さに驚き、「あとは任せて大丈夫」と安心感も生まれました。環境にやさしい回生協調ブレーキの需要は世界中で高まっていて、特に中国自動車メーカー向けはのびしろが大きい。これからが非常に楽しみですね。

「日本と海外」「今と次代」の
支柱となって引っ張り高めていく。

生産技術には「上流工程の設計と下流工程の製造現場のつなぎ役」のイメージがありますが、ただ右から左へとバトンをつなぐだけでありません。つなぎ役は、任された生産技術一人ひとりのスキルに頼るところが大きいので、私が支柱となってすべての工程を引っ張り上げ、高めていくようになりたいといつも思っています。設計図面を見極め、設備完成後の製造現場の実態も把握して、技術ベースをトータルに高める生産技術になって、もっと活躍できるように。私の場合は納得いくまで理解を深めた時に、初めて不安が解消されるので、実行力、計画性、柔軟性を大事にして、しっかりと課題に向き合うことをマイルールとしています。

また、半田工場は回生協調ブレーキで、海外生産拠点のマザー工場の位置づけです。技術的な知見やノウハウなど、生産技術管理のスタンダードをつくり、蓄積して厚みを増していく役割も私が担っているんだと、海外へ行って再確認できました。今、私たちがつくっておけば、海外拠点の10年後、20年後にも役立つ技術ベースになります。自分の仕事が未来のスタンダードになるわけですし、やりがいは大きいですね。アドヴィックスが掲げるVISION2030も「足元起点から将来起点」の方向性で、強みに磨きをかけていこうとしています。現状を知る足元起点から始まって、将来起点はDXでビッグデータを集める予知保全やIoTによるSmart Factoryへ。着実に歩みを進めていくために、次代へのつなぎ役にもなっていけたら、嬉しいですね。