生産管理/半田工場
生産管理室 工務G 日程1係

I.J

前職:自動車部品の生産管理

「モノだけでなく、
人を動かす」。
自分なりの読みと
先回りの情報展開を。

俯瞰と細部、鳥と蟻の「2つの眼」を併せ持つ。
「晴れ」を前提に「雨」でも臨機応変に挽回。

ブレーキをつくりながら、つくる人のことを考え、動かす――。設計が絵を描き、生産技術が設備を、製造がカタチをつくる。でも、コントロールする生産管理がいなければ、できあがって納品されることはありません。納期を守るだけでなく、生産に関わるみんなが目指す方向性を示して「人を動かす」のが生産管理を担う私の仕事だと、転職してから実感しています。

今は、自動車業界のCASE化で需要が高まる回生協調ブレーキの号口(量産化)の日程管理や新規生産ラインの立ち上げを任されています。ブレーキ製品は構成部品が300もあって仕入先や関係部署が多い。そのため、半田工場の生産工程の流れをトータルに広く見渡しつつ、細かな段取りや調整に気を配ることも欠かせません。俯瞰する「鳥の眼」と細部を見逃さない「蟻の眼」を併せ持つ壁は高く大変ですが、やりがいは期待以上でした。お客様の要望をもとに1ヶ月の日別生産計画を立て、必要な部品発注を手配し、ラインの改造や要員配置も考えて、製造や生産技術と調整しながら納品を滞らせない「モノと人の動き」を決めていきます。

生産不良などイレギュラーな対応も生じるので、天気に例えるなら、何も起きない「晴れ」を前提に、突然の「雨」にも休日生産などで挽回する臨機応変さが大事になります。普段から現場に足を運んで立ち話をしながら、設備や人に異常がないかも確認しています。常に現場に立ち、自分の眼で設備や人を見て、異常がないかを確認しながらコミュニケーションを深めていく。その面白さがアドヴィックスの生産管理の醍醐味ですね。

「現場の表情」の変化点もイメージした計画へ。
Aランクの回生協調ブレーキを無事に量産化。

計画通りにいつも同じものがつくれるわけじゃないことに、ものづくりの奥深さを痛感しています。温度や湿度、作業する人など、現場の表情が変わると出来高も変わるので、その変化点もイメージしながらより良い生産の流れを計画できる領域に近づいていけたらと思っています。

そのチャレンジとして印象深いのが、初めてAランクの回生協調ブレーキの新製品AHB-Rxの号口生産を任せてもらい、無事に立ち上げたことです。Aランクとは、新機能の多さなどアドヴィックスにとって最も重要度が高い製品、という位置づけです。既存ラインをベースに乗せ込みの扱いでしたが、外装部品が減る代わりに鉄塊のボディー部に入れ込む部品が増えて外観がまったく異なるなど、新製品ならではの苦労もありました。

ラインの立ち上げ方は、担当する生産管理の人それぞれに違います。私の場合、得意先から「この日にいくつ欲しい」という情報がない状況でも、量産化の立ち上げは部品を多めに仕入れます。経験値を活かす、自分なりの読みがそこに現れます。会社にとってロスがないのは当然ですが、「間違いなく、問題なく立ち上げる」ことを第一目標に、読みが的中した時は大きな自信になります。読みが外れて在庫が残っても、事前に他製品でも使えるか生産技術に交渉しておくなどといったことも忘れずにやり遂げます。経験を積んでいく中で、読みの感度がどんどん磨かれている手応えがありますし、より安定的に高品質な製品の供給に力を尽くしています。

「そうしてみよう!」と認めてもらう喜び。
仕入先も巻き込む手づくりの「未来の計画表」。

新製品が次々と生まれるアドヴィックスには、新しいラインを立ち上げるチャンスがあります。そこで心掛けているのは、生産技術や製造にいつも根拠を持って伝えるということ。「そうしてみよう!」と認めてもらえた時は、本当に嬉しい瞬間です。生産管理は数字で結果が出ない仕事ですし、納期を守るのは当たり前と思われがち。だからこそ、自分が認められ、周りがしっかり動いてくれて、みんなで無事にやり遂げることに大きなやりがいを感じます。

手づくりの「未来の計画表」で、仕入先を巻き込む挑戦も始動しています。数年先に立ち上げる新ラインまで、お客様の納期から逆算して、いつ、何が、どれだけ必要かの情報精度を上げて、早いタイミングで先回りした展開ができれば、仕入れ先は部品生産がしやすく安定供給にもつながります。実は、その計画を上司に伝えたら、社内情報を外部に展開することに反対されると思っていました。ところが「その方が動きやすいなら、いいんじゃないか?」と背中を押してくれて、仕入先も「助かります!」と喜んでくれています。

前職のように部門や役職の壁を感じるタテ社会ではない風土は、こんなに仕事がしやすいんだなと実感しています。「未来の計画表」は新人の育成にも、「人を動かすために、何が必要か」を分かりやすく伝えるツールとして活用しています。IoTの活用で生産設備や物流の自動化が進んでも、正しい情報や日程で余計な手間や無理が生じない計画の大切さは変わりません。現場で働く人を大事にして寄り添える生産管理を、後輩にも引き継いでいきたいと思っています。