「ブレーキ鳴き」解消への挑戦。

Project Story 02

「ブレーキ鳴き」解消への挑戦

Section.1 ブレーキ鳴きをゼロにできるのか?色々な環境下で起きうる複雑なテーマに挑む

スタンダードな解決策がない「ブレーキ鳴き」の問題

ブレーキは「鳴く」ことがある。とくに寒い冬の朝などは、取り立てて強くブレーキを踏んだわけでもないのに、『キーッ』という高音がブレーキから響くことがある。
ブレーキが鳴いたからといって車が止まらないわけではない。一方でお客様の要求は、ブレーキの効き方やブレーキをかけた時の振動などの感性にまで及んでいる。最近ではハイブリッドカーなど静粛性の高い車が増加しており、ブレーキ鳴きの解消は、ブレーキ専業メーカーであるアドヴィックスとして最重点課題であった。

ドライバーの乗り方が千差万別であるように、ブレーキも色々な環境下に置かれており、鳴きが発生する条件が生き物のように変化していくため、すべての鳴きを再現させることは非常に難しい。もちろん、長年にわたりブレーキ鳴き解消に向けた開発は進められており、現在のブレーキの静粛性はかなり高くなっている。それでも未だ万能解を見出せていないのが現状である。

カーメーカーや研究機関との共同研究に最年少で参加する

岡山県出身の小坂は、愛知の大学で学んでいた。材料工学を選択。大学院の研究室では触媒に関する研究に携わっていた。

愛知県にいれば、自然と自動車業界へと目が向く。就職活動においても、何社もの自動車関連メーカーの話しを聞いて回った。化学の知識を活かして働ける会社はどこか?その中のひとつがアドヴィックスであり、『ブレーキ』との出会いだった。

「ブレーキに有機材料が使われているなんて、微塵も思っていませんでした。あれだけ重いものを有機物で止めているなんて、消しゴムでクルマを止めているようなもの。そんなことが可能なのかと、逆に興味を持ったんです」

「有機材料を学んでいたので、ブレーキパッドに関する研究開発がしたい」。面接でこう告げた小坂は、入社後、研究開発部に配属。『ブレーキ鳴きに関する基礎研究』を担当することになった。

最初に小坂たちが手掛けたのは「メカニズムの解明」だった。

どのような環境下でブレーキ鳴きが起き、その時、ブレーキパッドにはどんな現象が生じているのか。現象の解析は、カーメーカーと研究機関、アドヴィックスがプロジェクトを組み、共同研究という形で取り組むことになり、小坂もアドヴィックスのメンバーの一員として参加することとなった。キャリアを積んだ選りすぐりのエンジニアが顔を揃える中、入社3年目の小坂は最年少での参加だった。