アジアで、欧米で、南米で、世界中で、「新会社をつくる」のが我々の仕事。

アジアで、欧米で、南米で、世界中で、「新会社をつくる」のが我々の仕事。

Section.4 目の前にいる人の期待に応えることが真のグローバル企業、グローバル人へ続く

最大の成果は、新体制と社長マニュアル

2012年4月、雲浮市に愛徳克斯汽車零部件有限公司が誕生した。その後も多様な調整と準備を行い、生産スタートは2013年12月。このプロジェクトの目的は中国での生産能力拡大だがそれ以上に大きな成果が得られたと野口は言う。それは社内の関係部署を動かし、環境対策管理の体制を構築できたこと。

「ここで僕はひとつの新しい枠をつくることができた。そしてこの新しい環境対応体制は、今後の経営にも必ず役に立つ」

長い歴史のある大企業で働くならば、不要だったはずの苦労。その苦労をあえて引き受けることで、自ら新しい舞台を切り開く。これが野口のアドヴィックス転籍の際の動機だった。さらに今回の雲浮プロジェクトは、引き続き拡大する新拠点のモデルケースにもなる。いま野口はそのノウハウを誰もが使える形にするため、企画室として整理している最中だ。それは言ってみれば会社設立マニュアル。社長マニュアルである。

世界中から頼りにされるそんな自分になるために

野口の夢は「海外拠点の経営者になること」
しかし本音を言えば、そんな形式はどうでもいい。人から頼りにされること。「君がいて助かった」と言われること。それが一番の目標だ。だから野口は断らない。自分の仕事に枠を設けず、難しい要求ほどひきうける。便利屋になってしまうこともあるが、ある程度はコストのうちと割り切っている。高いレベルの要求に「わかりました」と涼しい顔で応え、必ず結果を出すことが、野口が自分自身に課したテーマだ。そしてその向こうには、上司や同僚やお客さまの「ありがとう」がある。

「みんなに頼られる。その代表が社長でしょう。どんな危機に遭遇しても『あいつならできる』と思ってもらえる人。そして実際にやってしまう人。そんな人になりたいんです」野口の顔から「傲岸な優等生」の面影はもうすっかり消えている。そして野口は今日も中国で、東南アジアで、北米で、日本で、泥臭い交渉と地味な調整のために走り回っている。